看護師の仕事を続けていると、今後のキャリアについて悩む時期があると思います。
管理職を目指して病院内の研修を積んでキャリアアップを目指していくのか?
特定の診療科に特化して認定看護師資格や専門看護師の資格を取得しスペシャリストを目指していくのか?
今回は、この認定看護師の仕事内容と必要資格についてお話ししていきたいと思います。
(文:kuronurse)
認定看護師とは?
看護師として5年以上の実践経験を持ち、日本看護協会が定める615時間以上の認定看護師教育 を修め、認定看護師認定審査に合格することで取得できる資格です。
この5年間のうち、3年以上は認定看護分野の実務研修にあてられることが条件となっています。
認定看護師の分野の紹介
認定看護師資格は19分野に分けられています。それぞれの資格の役割は以下のとおりです。
・クリティカルケア
急性かつ重篤な患者の重篤化回避と合併症予防に向けた全身管理、早期回復支援
・緩和ケア
痛みなどの身体的・心理社会的な問題のアセスメント。QOL向上のための症状のマネージメント
・がん薬物療法看護
がん化学療法薬の安全な取り扱いと適切な投与管理
・在宅ケア
主体性を尊重したセルフケア支援、及びケースマネジメント
・腎不全看護
長期療養生活におけるセルフケア支援、及び自己決定の支援
・生殖看護
生殖医療を受けるカップルへの必要な情報提供、及び自己決定の支援
・摂食嚥下障害看護
適切かつ安全な摂食・嚥下訓練の選択、実施
・小児プライマリケア
救急時の子どもの病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施
・脳卒中看護
脳卒中患者の重篤化回避のためのモニタリングとケア
・心不全看護
心不全増悪因子の評価、及びモニタリング
・皮膚・排泄ケア
褥瘡等の創傷管理、及びストーマ、失禁等の排泄管理
・感染管理
医療関連感染サーベイランスの実践、及び感染防止技術の導入
・呼吸器疾患看護
安定期、増悪期、終末期の各病期に応じた呼吸機能の評価、及び呼吸の管理
・糖尿病看護
血糖パターンマネジメント、フットケア等の療養生活支援
・新生児集中ケア
ハイリスク新生児の病態変化を予測した重篤化の予防
・手術看護
麻酔、手術侵襲による心身への影響を最小限にするための安全管理
・乳がん看護
ボディイメージの変容に対する心理・社会的問題に対する支援
・認知症看護
認知症の各期に応じた療養環境の調整、及びケア体制の構築
・がん放射線療法看護
がん放射線治療に伴う副作用の予防と症状緩和ケア
認定看護師になるには
まずは日本で看護師免許を取得します。
その後、医療機関にて5年間の実務経験を積み(その内の3年以上は認定看護師分野の実務研修に充てる)、認定看護師教育機関に入学し修了します。
その後認定看護師認定審査を受けて、認定看護師として登録されます。
認定看護師の3つの役割
認定看護師は3つの大きな役割を求められています。1つ目は実践能力、2つ目は指導能力、3つ目は相談・コンサルテーション能力です。
1. 実践能力
実践能力とは、認定看護師教育機関で学んだ高度な知識や技術を、個人、家族及び集団に対して提供していくことを言います。
非常に難解な問題を抱えた患者さんのQOLを上げるにはどうしたら良いか、病院が抱えている課題を看護師の代表として取り組み実行するなど、広い範囲で深い知識を求められます。
2. 指導能力
指導能力は深い知識と技術を勤務先の看護師に還元し、看護師全体の能力を上げる役割です。
年齢問わずに看護師に指導することは非常に難しいため、普段から高いコミュニケーション能力も求められます。
3. 相談・コンサルテーション能力
相談・コンサルテーション能力は、他部署や他科から相談依頼された問題を知識や技術を提供し解決する能力を言います。
たとえば、整形外科で急遽ストーマを増設することになった患者さんのストーマの生活指導内容の相談を整形外科から依頼されて認定看護師が行う、ということもあります。
認定看護師の具体的な仕事内容
下記は、私が実際に大学病院で働いていていた時に一緒に仕事をした認定看護師の仕事内容です。全てを網羅しているわけではないですが、参考になればと思います。
感染管理看護認定看護師
新型コロナウイルスの蔓延に伴い、病院内で感染対策チームが立ち上げられました。
そのチームメンバーの1人に看護師代表として感染管理認定看護師の方が入っていました。
具体的な仕事は、
・全医療従事者に対して防護マスクを装着する際の注意点や使用方法の説明
・防護マスクの適切なサイズ装着のためのアドバイス
・特殊な機械を使って呼気吸気を測定し、ひとりひとりが確実に防護マスクが付けられているかのチェック
・チームの一員として院内の感染対策方法やゾーニングを考え実行する
というものでした。
手術看護認定看護師
手術看護認定看護師は基本的には他手術室看護師と同じ業務を行なっています。
たくさんある手術の中で、手術を受ける患者さんの体型が標準から大きく逸脱していたり、特別な体位が必要な手術など認定看護師が中心となって対策を考えていました。
また手術看護学会で発表したり、出版社などと協働して手術室看護師向けのセミナーを行なったりもしていました。
認定看護師になるメリット
認定看護師になる最大のメリットは、一般的な看護師の役割を超えて病院内で看護師の代表として働くことが出来ることです。
やはり看護師の代表として働くには、特別な知識と能力が必要です。
資格を取得することも大事ですが、常に自分の看護技術をブラッシュアップすることが出来る、学び続けることが出来るような意識の高い看護師が認定看護師には向いてます。
病院によっては認定資格を持っていると、給料が加算される場合もありますが、平均して1~2万円ほどと言われています。
資格の更新や病院内での責任を考えると、給料の加算よりも自身の看護技術の向上を目的として取得する看護師が多い印象です。
※掲載した情報は記事作成日(または更新日)時点のものです。制度・法の改定や改正などによって最新のものでない可能性があります。
(参考:日本看護協会HP)https://nintei.nurse.or.jp/nursing/qualification/cn
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