〇医療環境管理士とは
内閣府認証特定非営利活動法人 日本医療環境福祉検定協会が認定する医療環境の管理に特化した資格です。国家資格ではなく民間資格になります。
簡単に言えば「医療現場における感染対策のプロ」になります。
この時代に大変活躍しそうな資格ですが、あまり聞きなじみのない資格かと思います。
日本医療福祉検定協会は、2019年9月30日をもって協会としての事業活動を休止しており、日本医療福祉検定協会は閉鎖、医療環境管理士も廃止となっております。
では、この医療環境管理士、どんな資格だったのでしょうか。
〇医療環境管理士の仕事内容
前述したとおり、医療現場の感染対策のプロとして、感染対策にあたり、医療の環境を整えます。
仕事をする場所によって様々な役割があります。
病院:
この資格を持っている人が一番多く働いているのは病院です。
新型コロナウイルスだけではなく、病院内にはたくさんの細菌やウイルスが存在します。また、病院には健康な方は感染しないような感染症に感染して発症してしまう、易感染状態の方がたくさんいます。
そして感染するとすぐに命にかかわるような病気の方も病院にはたくさんいます。そのため、感染を防ぐ環境管理がとても大事になります。
医療環境管理士は感染対策委員に入り、感染対策の体制づくりや他の職員に対する教育を行うこともできます。
具体的には、医療機器やリネン類の管理、医療廃棄物の破棄の仕方。
空調や採光の調整などが適切におこなわれているか。
人員配置なども管理します。
感染対策を行うことは患者さんを守るだけでなく、病院で働くすべての人を感染症から守ることにつながります。
介護施設:
高齢者を介護する施設でも、病院と同様に易感染状態の方が多くいるため、感染対策が重要になります。
病院と違う点は、施設は日常を過ごす生活の場でもあるため、それに適した感染対策を行う必要があります。認知症の方も多くいる中で、利用者さんにストレスをかけないように工夫した感染対策をすることは、資格を持っている人の腕の見せ所となります。
製薬会社などの医薬品関連業者:
病院や施設への出入りが多い仕事であるため、感染対策に対する知識が必要となります。
病院に勤務していると製薬会社の方が新しい薬の説明などをしてくれる機会が多々あります。マスクを適切に使用できていない、手洗いや手指消毒の仕方が適切でない方の話はあまり信用できないと感じてしまいます。
〇医療環境管理の重要性
とにかく忙しい医療現場においては、ただゴミを捨てるだけでも、
「このゴミについているものは体液だから・・・」「このガーゼの中に針は入ってないか?」など考え、確認するのはとても大変です。つい、後回しにしたり、見落としそうになったりしてしまいます。
多くの病院では感染対策委員会が病院内の見回りを行い、できていること、できていないことを評価します。
その時に、「できていないこと」をただ注意するのではなく、「なぜできないのか?」「どうしたらできるようになるのか?」そこを一緒に考えて、動いてくれる人がいるとその感染対策委員会の活動は大きな意味があると感じます。
マンパワー、消毒やゴミ箱の設置場所やその数の問題は、看護師が一人で声をあげても改善できる問題ではありません。
医療現場の実際を知っている人が、忙しさや動線を考え、その上でできる対策、環境を管理してくれる。
そんな医療環境の管理を現場の人間は求めています。
◯医療環境管理士の代わりになる資格
医療の感染対策にあたる資格としては
・感染管理認定看護師
・感染症看護専門看護師
どちらの資格も看護師免許を取得していることが前提となり、
看護師免許取得後、実務研修が通算5年以上あること(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)
さらに所定の教育機関で所定の教育を受ける、試験に合格する必要があります。
また、5年ごとに更新の必要があります。
医療環境管理士と比較すると資格取得の難易度は高くなります。
すでに看護師資格を取得している人にとってはキャリアアップになるのではないでしょうか?
まとめ
既に廃止されている資格なので今から目指すことはできませんが、現在この資格を取得している方は、その知識を生かして、医療現場をより良い環境にしていただきたいです。
(文:看護師chiyoiyo)
(参考:日本看護協会HP https://www.nurse.or.jp )
※掲載した情報は記事作成日(または更新日)時点のものです。制度・法の改定や改正などによって最新のものでない可能性があります。
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